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国の医療政策が大きく変貌しようとしていますが、いまだ過渡期で混沌としている状況にあります。長崎県病院企業団としては、足元をしっかり見据え、着実に現場からの医療に対する要望に応えていかねばなりません。

離島の医師不足が叫ばれていまが、離島医療圏組合病院(今日の病院企業団病院)では、昭和61年に50名であった医師が平成3年80名、平成13年90名、平成16年に100名を突破し現在105名に増えてきています。しかるに島の人口は激減し、対人口比の医師数は相対的にさらに増加しています。今年4月の医師総数は、ほぼこれまでどおり確保できました。人口の減少を考えると医療提供量は落ちていませんが、専門医療の面からみると住民の要望に十分には応えられない部分があります。住民の要望というより医療の進歩による専門分野の広がりの問題といえます。

もっとも要望が強かった産科の継続については、長崎医療センターの協力で新上五島町に2名、対馬市に3名の配置が実現し、里帰り分娩も再開できました。また、精神科は、精神医療センター、長崎大学の協力で新上五島町に1名、対馬市に3名の体制でスタートが切れました。企業団の組織力が出てきたと思われます。

しかし、今年の臨床研修を修了した養成医に内科志望が皆無であったことなどにより内科医の充足が困難になりました。この傾向は今後も続くと思われます。問題は、総合診療科が敬遠され、専門分化が進み、診療科ごとの偏在が目立つことです。基本的には医療の集約化により診療科の平準化を進める以外に人口減少の島では解決の道はありません。長崎県周辺部地域の医療を守るための地域基幹病院の充実を実行していきます。

さて、平成22年度の直近の課題は、地域医療再生基金から離島圏域の医療再生に25億円が交付されますので、平成25年までに医療改革を実行しなければなりません。

まず、対馬の医療体系プランの確定です。中対馬病院と対馬いづはら病院を統合新設する新病院の基本計画について、早急に当事者である病院、対馬市と企業団で原案を作り、住民説明会を行い、計画を遂行していきます。上対馬病院は透析室の改築を行うとともに新病院との兼ね合いで療養病床の存続、廃止を決定しなければなりません。そのうえで人口の推移、患者の流れにより診療科目や運営形態を考えていきます。

新上五島町では明確な改革方針が打ち出されています。有川病院は昨年、上五島病院附属有川医療センター(無床診療所)としましたが、慢性透析センター、外来リハビリ部門の充実を早急に進め、地域のみなさんにとってよかったと評価されるよう整備を急がねばなりません。特色ある変貌は今後の離島病院改革のモデルになります。成果が出ないと他の地域の改革も進みません。

奈良尾病院は平成23年度に無床診療所として、さらに住民の利便性を図るため、新築移転する計画です。外来診療は新診療所として通院が便利になりますが、入院は上五島病院に集約することになります。住民のみなさんにはご不便をかける点もあると思いますが、ご理解いただきたいと思います。これらの改革はともに地域医療再生基金を用いて行うこととなります。

五島市の病院改革は長崎県内の病院改革の中で最も遅れています。すなわち県内の常勤医師3名以下の8公立病院の中で、奈留、富江の2病院の改革具体案が定まっていません。五島市では新しい改革委員会が発足しますが早急に実現性ある改革案が示されることを期待しています。

病院企業団の平成21年度の経常収支は全病院総計99%台でわずかに黒字達成は叶いませんでした。今年度は公的使命を預かる病院企業団として健全経営を目指します。

長崎県病院企業団発足2年目になり、この組織、制度を根つかせねばなりません。長崎県の周辺地域の医療を守る病院企業団へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。


平成22年4月1日     
長崎県病院企業団  
企業長 矢野右人